ロクス

誓約書の全てがわかる！
書き方から法的効力
すぐに使える例文まで

「誓約書にサインしてください」と言われた時、
その意味や法的な重みを正しく理解できていますか？

ビジネスやプライベートな約束事で交わされる「誓約書」ですが、
契約書との違いや、どこまで法的な効力があるのか、
意外と知らないことも多いはずです。

この記事では、誓約書の基本的な役割から、
無効になってしまうケース、
そして実際に使える例文まで、
知っておくべき知識を網羅的に解説します！

誓約書・念書・契約書の違いとは？
それぞれの役割を徹底比較

• ページ更新日：10月17日

約束事を書面で交わす際、
「誓約書」・「念書」・「契約書」といった書類が登場します。

それぞれ似ているようで役割が異なるため、
まずはその違いをしっかり理解しておきましょう。

誓約書・念書
「誓約書」と「念書」は、
ほぼ同じものと考えて問題ありません。

これは、
約束をする側（誓約者）が、
一方的に約束の履行を誓い、
相手方に差し出す書類を指します。

提出された側が保管することで、
後々のトラブルを防ぐ役割を果たしますが、
法的な強制力を持たない場合も少なくありません。

契約書
「契約書」は、
当事者双方が合意した内容を書面に記し、
両者が署名・押印する書類です。

通常は2通作成し、
お互いが1通ずつ保管します。

雇用契約や売買契約など、
双方に権利と義務が発生する場合に用いられ、
誓約書よりもはるかに強い法的な拘束力を持ちます。

一度有効に成立すると、
一方的な都合で内容を撤回することは原則できません。

誓約書の法的効力はどこまで？
サイン前に知るべき有効性の境界線

「もし誓約書の内容を破ったら、
法的に罰せられるの？」という点は、
多くの方が気になるポイントでしょう。

結論として、
一般的な誓約書は当事者間の「合意」を示すものであり、
それ単体で契約書のような強い法的拘束力を持つわけではありません。

そのため、
内容に納得がいかなければ、
署名・押印を拒否することも可能です。

ただし、
内容次第では法的な証拠として極めて重要になるケースもあるため、
軽視は禁物です。

効力を発揮する！有効な誓約書の条件

法律に違反しない常識的な範囲で作成された誓約書は、
裁判などの場で「当事者間にそうした約束があった」ことを証明する有力な証拠となります。

特に、
以下の内容を含む誓約書は有効と判断されやすいです。

秘密保持義務
業務上知り得た機密情報（顧客情報・技術ノウハウなど）を、
在職中および退職後に漏洩しないという約束。

競業避止義務
退職後、
一定の期間や地域において競合他社に転職したり、
同種の事業を始めたりしないという約束（※ただし、
職業選択の自由を不当に制限しない合理的な範囲に限る）。

債務の承認と支払い
慰謝料や貸付金など、
特定の金銭支払い義務があることを認め、
その返済計画を約束する内容。

就業規則の遵守
会社の従業員として、
定められた就業規則や服務規律を守ることを約束する内容。

サインしても無効に？法的に認められない内容とは

反対に、
たとえ本人が署名・押印したとしても、
法律や公序良俗に反する非常識な内容は無効と判断されます。

労働基準法などの強行法規に違反する内容
「理由を問わず残業代は一切請求しない」・「遅刻1回につき罰金1万円」など、
法律で保障された労働者の権利を一方的に奪う約束。

不当に重い損害賠償の予定
「会社の備品を破損させた場合は、
理由を問わず全額を賠償する」など、
労働者の責任範囲を逸脱した一方的な賠償義務。

退職の自由を不当に制限する内容
「自己都合で退職する場合は違約金100万円を支払う」など、
退職の自由を実質的に奪うような高額な違約金の定め。

基本的人権を侵害する内容
「会社に対する一切の訴訟を提起しない」と裁判を受ける権利を放棄させたり、
個人の信条を強制したりする内容。

こんな時に必要！
誓約書が活用される代表的な場面

誓約書は、
様々な場面で活用されます。

ここでは、
代表的な5つのシーンをご紹介します。

機密保持誓約書
主に入社時やプロジェクト参加時に、
会社の機密情報を外部に漏らさないことを約束するために提出します。

入社誓約書
主に新卒採用の内定者が、
「特別な事情がない限り、
指定された日に入社します」と会社に約束し、
内定辞退を防ぐ目的で提出が求められます。

退職合意書兼秘密保持誓約書
退職に際し、
退職後も会社の秘密情報を保持することや、
貸与物を返還することなどを改めて約束するために提出します。

慰謝料等の支払いに関する誓約書
離婚や不貞行為の解決にあたり、
慰謝料や養育費を分割で支払う側が、
その履行を約束するために作成します。

支払いが滞った際の重要な証拠となります。

迷惑行為の再発防止に関する誓約書
ハラスメントや近隣トラブルなどの加害者が、
被害者に対し「今後は二度と同様の行為を行いません」と約束し、
再発防止を誓うために作成します。

失敗しない誓約書の書き方
効力を高める7つの必須項目

誓約書には法律で定められた決まった形式はありませんが、
その効力を確かなものにするために、
記載すべき7つの基本項目があります。

①宛名（誓約書を受け取る相手）
誰に対して誓約するのかを冒頭で明確にします。
個人であれば氏名、
企業であれば会社名と代表者名を正確に記載します。
（例：株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 様）

②表題（タイトル）
「誓約書」や「念書」など、
書類の目的がひと目で分かるように中央に大きく記載します。

③本文（誓約する内容）
誓約者が一方的に約束することを示すため、
「私は、
貴社（貴殿）に対し、
以下の事項を遵守することを誓約いたします。」といった形で、
「私」を主語として書き始めます。

約束事は箇条書きで、
「誰が・何を・いつまでに・どのようにするのか」が第三者にも明確に伝わるように具体的に記載することが重要です。

④作成年月日
いつその誓約がなされたかを特定するための重要な日付です。
和暦で「令和〇年〇月〇日」と正確に記載しましょう。

⑤誓約者の署名
誓約する本人の住所と氏名を記載します。
必ず本人が自筆で署名することが、
文書の証拠価値を高める上で非常に重要です。

⑥押印
署名の横に押印します。
認印でも法律上の効力はありますが、
重要な内容の場合は実印を使用し、
印鑑証明書を添付すると、
より文書の信頼性が高まります。

⑦提出と保管
誓約書は、
誓約者が相手方に差し出すものです。
原本は相手方に渡し、
誓約者は必ずコピーを保管しておきましょう。

【応用編】基本から学ぶ誓約書テンプレート作成術

ここでは、
単なる雛形の紹介ではなく、
基本となるテンプレートを状況に応じてカスタマイズする方法を解説します。

誓約書の基本テンプレート

基本構成
（①宛名） 〇〇　〇〇　様 （②表題） 誓約書 （③本文） 私は、貴殿に対し、以下の事項を誠実に履行することを誓約いたします。 記 1．（具体的な誓約内容を記載） 2．（必要に応じて項目を追加） 以上 （④作成年月日） 令和〇年〇月〇日 （⑤署名・⑥押印） 住所　〇〇県〇〇市〇丁目〇番〇号 氏名　〇〇　〇〇　印

上記の基本形をベースに、
目的に合わせて内容を追記していきます。

「守秘義務」で使う場合の追記ポイント
企業の秘密情報を守るためには、
「記」の部分に以下の内容を具体的に盛り込みます。

・秘密情報の定義：何が秘密情報にあたるのか（顧客情報、技術情報など）を明確にする。
・禁止事項：許可なく開示・漏洩・私的利用しないことを明記する。
・退職後の義務：退職後も同様の義務を負うことを記載する。

「金銭の支払い」で使う場合の追記ポイント
慰謝料や貸金の支払い約束を確実にするには、
以下の金融に関する項目を正確に記載します。

・支払い義務の承認：何の目的で、いくらの支払い義務があるかを明記する。
・支払いの詳細：総額、分割回数、毎月の支払額、支払日、振込先口座などを具体的に定める。
・期限の利益喪失条項：支払いが一度でも遅れた場合、残額を一括で請求できる旨を記載する。

まとめ

誓約書は、
それ自体に契約書のような強い法的拘束力があるわけではありません。

しかし、
当事者間の約束事を明確にし、
トラブルの際に「言った・言わない」の水掛け論を防ぐための極めて有力な証拠となります。

まさに、
将来のリスクに備えるための「お守り」のような存在と言えるでしょう。

誓約書を作成する側も、署名を求められる側も、
その内容を十分に理解し、
納得した上で取り交わすことが何よりも大切です。

この記事で解説したポイントや注意点を参考に、
後々のトラブルを招かない、
適切で安心できる誓約書を作成・確認しましょう。

参考リンク集

公式サイト・サービス	詳細
法テラス 公式サイト	国が設立した法的トラブル解決の総合案内所。信頼性の高い情報源です。
確かめよう労働条件（厚生労働省）	入社時の誓約書など、労働契約に関する公式ルールを確認できます。