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【最新】扶養内パートの交通費は非課税?123万・130万円の壁と社会保険の注意点

交通費は「年収」に含まれる?
税金と社会保険で異なる計算ルール

「パートで働きたいけれど、
交通費をもらうと扶養から外れちゃう?」
「123万円の壁や130万円の壁って、
交通費は含まれるの?」

そんな疑問をお持ちの方は多いはずです、
特に令和7年(2025年)からの税制改正で、
従来の「103万円の壁」が「123万円」に変わるなど、
ルールが大きく変化しています。

知らずに働いていると、
「うっかり扶養を外れて税金がかかってしまった!」
なんてことになりかねません。

そこで、
パートの交通費と扶養の新しいルール
を中心に、
最新のポイントをわかりやすく整理していきます。

  • ページ更新日:11月29日




扶養控除の新しい基準「123万円の壁」とは?

まず最初に、
一番重要な「税金の壁」について解説します、
これまで長く言われてきた「103万円の壁」は、
令和7年(2025年)から「123万円の壁」へと変わりました。

これは、
税金を計算する際の「控除額」が引き上げられたためです。

基礎控除と給与所得控除の引き上げ

パート収入に対して税金がかからない枠組みは、
以下の2つの控除の合計で決まります。

  • 基礎控除:すべての人が受けられる控除
  • 給与所得控除:給与をもらう人が受けられる控除

これらが以下のように改正されました。

区分 旧制度(〜2024年) 新制度(2025年〜)
基礎控除 48万円 58万円
給与所得控除 55万円 65万円
非課税の壁 103万円 123万円

つまり、
年収123万円までは所得税がかからない
ということになります。

夫(配偶者)が「配偶者控除」を受けるための条件も、
妻の年収要件が103万円以下から123万円以下へと緩和されています、
これからパートを始める方は、
この「123万円」という新しい数字を基準に働き方を考えましょう。

交通費は「123万円の壁」に含まれる?

では、
ここからが本題です、
会社から支給される「交通費」は、
この123万円に含まれるのでしょうか?

税金上の壁には「交通費は含まれない」

結論から言うと、
所得税の計算(123万円の壁)には、交通費は基本的に含まれません。

給与明細を見ると、
「課税支給額」と「非課税支給額」に分かれていることが多いですが、
通勤手当は通常「非課税通勤費」として扱われるからです。

ただし、
いくらでも非課税になるわけではなく、
上限が決まっています。

電車・バス通勤の場合

公共交通機関を利用している場合、
1ヶ月あたり15万円までは非課税
とされています。

以前は10万円が上限だった時代もありましたが、
現在は15万円まで引き上げられています、
一般的なパート勤務であれば、
月15万円を超えることは稀ですので、
「全額非課税(年収に含まない)」と考えて良いでしょう。



マイカー・自転車通勤の場合(最新改正)

車やバイク、
自転車などで通勤している場合は、
距離に応じて非課税となる限度額が決まっています。

この限度額も、
令和7年(2025年)4月から大幅に引き上げられました。
最新の非課税限度額は以下の通りです。

片道の通勤距離 非課税限度額(月額)
2km未満 全額課税
2km以上 10km未満 4,200円
10km以上 15km未満 7,300円
15km以上 25km未満 13,500円
25km以上 35km未満 19,700円
35km以上 45km未満 25,900円
45km以上 55km未満 32,300円
55km以上 38,700円

もし、
会社からこの限度額以上の交通費をもらっている場合は、
はみ出した分だけが「給与」として扱われ、課税対象になります。

しかし、
多くの会社は非課税限度額内で支給額を設定しているため、
一般的には「交通費は税金の計算には入れなくてOK」
というケースがほとんどです。

要注意!社会保険の壁には「交通費が含まれる」

ここが一番の落とし穴です、
税金(所得税)の話とは別に、
「社会保険の扶養(130万円の壁)」というルールがあります。

この社会保険の壁については、
考え方がまったく異なります。

130万円の壁は交通費込みで計算する

健康保険や厚生年金の扶養判定(年収130万円未満)では、
交通費を含めた総支給額
で判断されます。

たとえ税金上は非課税の交通費であっても、
社会保険の判定では「収入」としてカウントされるのです。

【ここが違う!】
税金の壁(123万円)
→ 交通費は含まない(基本給のみ)

社会保険の壁(130万円)
→ 交通費を含む(総支給額)

たとえば、
「時給で計算すると年収125万円だから、
130万円の壁はギリギリ大丈夫!」
と思っていても、
そこに交通費が年間6万円プラスされると、
合計131万円になり扶養から外れてしまう可能性があります。

遠距離通勤などで交通費が高額になる方は、
特に注意が必要です。



まとめ:扶養と交通費の正しい関係

最後に、
パートの交通費と扶養のルールを整理しましょう。

1. 所得税(123万円の壁)の計算
交通費は基本的に含めません、
非課税枠(公共交通機関15万円、マイカー規定額)内であれば、
年収カウントは「給与のみ」でOKです。

2. 社会保険(130万円の壁)の計算
交通費はすべて含めて計算します、
交通費をもらいすぎると、
手取りは増えても扶養を外れる原因になるため、
年収計画には交通費分もしっかり組み込んでおきましょう。

令和7年からは、
税金の壁が103万円から123万円に広がったことで、
以前より働きやすくなっています。

しかし、
社会保険の壁(130万円)のルールは変わっていません、
「税金はかからないけど、社会保険料が発生して手取りが減った」
という事態にならないよう、
交通費を含めたシミュレーションをしっかり行ってくださいね。