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日本学生支援機構の奨学金|保証人と保証制度の知識を詳しく解説します!

奨学金を借りる前に知っておきたい!
「人的保証」と「機関保証」の仕組みと選び方

大学や専門学校で勉強したいけれども、
経済的に余裕がなく、
バイトをしても学費や生活費が足りない・・。

そんな時に多くの学生を支えているのが、
「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金制度です。

しかし、
貸与型の奨学金は将来的に「返済しなければならない借金」ですので、
申請する際には必ず「保証制度」を選択しなくてはなりません。

親になってもらうのか、
保証機関にお金を払って頼むのか。

ここでは、
奨学金の保証人と2つの保証制度について、
最新の公表情報を踏まえて詳しく解説します!

1.日本学生支援機構の奨学金とは?
2.保証制度について(人的保証と機関保証)
3.人的保証制度とは?(条件と注意点)
4.機関保証制度とは?(保証料の目安)
5.連帯保証人や保証人の変更方法
6.まとめ

  • ページ更新日:12月8日




1.日本学生支援機構の奨学金とは?

「日本学生支援機構(JASSO)」とは、
国が運営に関わる公的な機関であり、
大学・短大・高専・大学院・専門学校等で学ぶ学生を支援する奨学金制度を取り扱っています。

近年は返済不要の「給付型奨学金」も拡充されていますが、
多くの学生が利用しているのは、
学生にお金を貸し出し、
卒業後に返済してもらう「貸与型」のシステムです。

返済された資金を、
また次の世代の学生に貸し出すことで成り立っています。

申し込みができるのは原則として在学中の学生(または入学予定者)で、
在籍する学校を通して申し込むことになります。

貸与型奨学金には、
基本的に以下の3種類があります。

第一種奨学金

第一種奨学金は、
無利息(金利0%)で借りることができるタイプです。

特に優秀な成績の学生が対象で、
学力が高いにも関わらず、
経済的な理由で修学が困難な学生が選ばれます。

無利息なので借りた元金分だけを返済すれば良く、
負担が最も少ないのがメリットですが、
学力基準や家計基準が厳しく、
誰でも利用できるわけではありません。

第二種奨学金

第二種奨学金は、
利息がつきます(有利子)。

第一種に比べて選考基準が緩やかで、
多くの学生が利用しているのがこのタイプです。

在学中は無利息ですが、
卒業して貸与期間が終了すると利息が発生します。

「年3%を上限」としていますが、
近年の利率はおおむね年1%前後〜1%台で推移しており、
一般的な教育ローンと比べると低めの水準となっています。

入学時特別増額貸与奨学金

入学時特別増額貸与奨学金は、
利息がつくタイプの一時金です。

毎月の奨学金とは別に、
入学した月の奨学金に上乗せして、
10万円~50万円程度のまとまった金額が一度だけ貸与されます。

※「入学時」という名前ですが、
実際に振り込まれるのは入学後(5月以降)になるため、
入学金の支払いそのものには間に合わない点に注意が必要です。



2.保証制度について

上記の様に奨学金(貸与型)には無利息・有利息があるものの、
将来必ず返済する必要がある、
いわゆる「借金」に変わりはありません。

そのため、
奨学金の貸与を受ける時には、
返済を担保するための「保証制度」への加入が必須となります。

奨学金を申請する時には、
以下の2つの保証制度から必ずどちらかを選びます。

人的保証(連帯保証人・保証人を探す)
機関保証(保証料を払って機関に保証してもらう)

この2つは基本的に自分で選択ができます。

ただし、
第一種奨学金で「所得連動返還方式」を選ぶ場合や、
一部の海外留学向け奨学金などでは、
「機関保証」が必須となるケースもあります。

3.人的保証制度とは?

人的保証制度は、
文字通り「人」にお願いして、
「連帯保証人」と「保証人」の2名になってもらう方法です。

それぞれの条件は原則以下の通りです。

連帯保証人:原則として「父母」
保証人:本人及び連帯保証人と別生計の「おじ・おば・兄弟姉妹等」

最大のメリットは、
保証料(手数料)がかからないことです。

身近に条件を満たす親族がいる場合には、
手取りの奨学金が減らないため、
経済的にはお得な方法と言えます。

ただし、
どちらも「印鑑登録証明書」や「収入に関する証明書」の提出が必要です。

また、
将来的に本人が奨学金を返済できない場合、
連帯保証人は本人と同等の支払い義務を負います。

2020年の民法改正により、
保証人に対しては「極度額(支払いの責任上限額)」を提示し、
書面で合意することが義務化されました。

「万が一の時は、最大で〇〇万円まで責任を負う」という重い契約になるため、
よほど信頼関係があり、
経済力のある親族でないと頼みにくいという側面があります。

人的保証の条件として、
以下の人は「連帯保証人・保証人」にはなれません。

1・無職の人、収入が安定していない人

連帯保証人や保証人は、
「返済の資力がある」と認められる必要があります。

基本的に、
仕事をしており安定した収入がある人が対象です。

すでにリタイアして無職の人は、
収入証明が出せないため原則として認められません。

(※無職でも相当の資産があり、毎月確実な収入がある場合は認められるケースもありますが、審査は厳しくなります)

2・年金生活者・高齢者である

あなたが入学する時点で、
「65歳未満」であることが条件となります。
(※貸与終了時に本人が45歳を超える場合は、その時点で60歳未満の人)

年金を受給している祖父母などは、
年齢制限により保証人として認められないケースがほとんどです。

3・金融事故の履歴がある

奨学金は金融契約の一種ですから、
連帯保証人や保証人になる人の信用情報も重要です。

過去に債務整理(自己破産や個人再生)を行っているなど、
金融事故の履歴がある場合は審査に通りません。

4・未成年の兄弟姉妹や学生、配偶者など

兄弟姉妹でも、
独立して生計を営んでいる成人であり、
かつ「学生でない場合」のみ保証人になれます。

また、
あなたの配偶者(婚約者を含む)は、
連帯保証人・保証人ともに選任できません。

5・人的保証制度の申し込み方法

人的保証制度で奨学金を申し込む場合、
窓口は学校になります。

・連帯保証人:印鑑登録証明書、収入証明書
・保証人:印鑑登録証明書

これらを用意し、
「返還誓約書」等の必要書類にそれぞれ直筆で署名・押印をお願いすることになります。



4.機関保証制度とは?

学生の中には、
「親がすでに定年退職している」
「頼める親戚がいない」
「親族に借金の保証人を頼みたくない」
という人も多いでしょう。

そのような学生のために用意されているのが、
「機関保証制度」というシステムです。

これは、
「公益財団法人日本国際教育支援協会」という機関が、
あなたの連帯保証人になってくれる制度です。

家族や親戚に保証人を頼む必要がなく、
万が一返済ができなくなった場合でも、
まずは保証機関が日本学生支援機構へ立替払いを行います。

(※あくまで立替であり、あなたの返済義務が消えるわけではありません。その後は保証機関へ返済することになります)

機関保証のデメリットは「保証料」

機関保証制度を利用する場合、
毎月の奨学金から「保証料」が差し引かれて振り込まれます。

保証料は、
「借りる月額」「貸与期間」「返還期間」などで決まります。

月額5万円前後であれば月々数千円程度、
4年間借りるとトータルで十数万円~数十万円になるケースが一般的です。

手取り額が減る点は理解しておきましょう。
※正確な金額は、JASSOが公表している最新の「保証料表」で必ず確認してください。

機関保証制度の申込み方法

奨学金の申込み時に「機関保証」を選択します。

窓口は学校となります。
未成年者の場合は、
親権者(父母等)の同意欄への署名等は必要ですが、
親の印鑑証明書や収入証明書は不要なため、
手続き自体は人的保証よりもスムーズです。



5.連帯保証人や保証人の変更方法

人的保証制度で奨学金を受けている最中に、
連帯保証人(親)が亡くなったり、
保証人(おじ等)が自己破産したりと、
条件を満たせなくなるケースがあります。

その場合は、
速やかに変更の手続きが必要です。

「日本学生支援機構」または「学校の奨学金窓口」に申し出ましょう。

連帯保証人の変更

連帯保証人が死亡などで役割を果たせなくなった場合、
新しく連帯保証人を立てる必要があります。

原則はもう片方の親や、
条件を満たす親族を選任し、
「連帯保証人変更届」を提出します。

もしも代わりが見つからない場合には、
「機関保証制度」への変更手続きを行うのが一般的です。

保証人の変更について

保証人についても同様です。
65歳を超えても在学中は継続できますが、
死亡や破産等の場合は変更が必要です。

こちらも代わりの親族が見つからない場合、
機関保証への切り替えを検討することになります。

人的保証から機関保証への切り替え

「親に頼んでいたけど、やっぱり機関保証にしたい」
という変更は、
いつでも自由にできるわけではありません。

原則として、
連帯保証人や保証人が死亡・破産などで条件を満たせなくなり、
かつ新たな保証人を立てられないといった、
「やむを得ない事情」がある場合に限って、
審査のうえで認められる仕組みです。

その際は、
「現在延滞していないこと」に加えて、
これまでの貸与期間分も含めた保証料を一括で支払う必要があります。

逆に、
「機関保証」から「人的保証」への変更は、
JASSOの規定上、変更できないとされています。

最初の選択が肝心ですので、
よく話し合って決めましょう。



▼【住所や勤務先などの変更方法

本人・連帯保証人・保証人のいずれかの住所や電話番号、
勤務先などに変更があった場合、
必ずJASSOへ届け出が必要です。

現在はインターネットでの手続きが主流です。

インターネット(スカラネット・パーソナル)

JASSOの奨学生専用サイト、
「スカラネット・パーソナル」から24時間手続きが可能です。

奨学金番号などを入力して登録(アカウント作成)しておけば、
いつでも住所変更や、
現在の借入総額の確認ができて便利です。

郵送・FAX・電話

インターネット環境がない場合は、
「各種変更届」の用紙を郵送するか、
「奨学金相談センター」へ電話をして指示を仰ぎましょう。

6.まとめ

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、
他の教育ローンに比べて金利が圧倒的に低く、
在学中は無利子であるなど、
学生にとって非常に有利な制度です。

しかし、
「給付型」を除き、
あくまで「卒業後に返済が必要な借金」であることに変わりはありません。

人的保証を選ぶ場合は、
親や親戚に万が一の責任を負わせることになりますし、
機関保証を選ぶ場合は、
自分のお金(保証料)で責任をカバーすることになります。

どちらを選ぶにせよ、
「自分が借りて、自分が返す」という意識を強く持ち、
将来の返済計画も含めて慎重に検討しましょう。