児童扶養手当(母子手当)の
所得制限と最新支給額
「児童扶養手当」は、
かつて「母子手当」と言われていました。
これはひとり親家庭などで、
経済的に困難な状況の場合に受け取れる手当のことです。
「自分は対象になるの?」「いくらもらえるの?」
と気になっている方も多いのではないでしょうか。
2024年11月(令和6年)に大きな制度改正があり、
所得制限の限度額引き上げや、
第3子以降の加算額増額など、
より多くの方が受け取りやすくなっています。
最新の受給条件と金額、
手続きの方法について分かりやすく解説します。
- ページ更新日:12月16
1.児童扶養手当を受け取れる条件は?
児童扶養手当とは、
ひとり親家庭等の生活を援助する為に定められた国の給付金制度です。
以前は母親のみが対象でしたが、
現在は「父子家庭」も支給の対象となっています。
児童扶養手当の受け取り条件は以下の通りです。
・母親(または父親)と子供の住所が日本国内にある
・子供の年齢が18歳未満、
或いは18歳になり最初の3月31日より前の年齢
上記に加えて、
子供に一定の障害が見られる場合には、
20歳になるまで受給期限を延長できます。
児童扶養手当は、
離婚・死別はもとより、
未婚で子供がいる場合でも受給できます。
つまり、理由を問わず
「ひとり親家庭」等であれば対象になるという訳です。
さらに、
両親が揃っていたとしても以下の場合にも受給が認められています。
・配偶者が行方不明
・配偶者が刑務所で服役して1年以上になる
・配偶者と別居後1年以上生活費の支払が途絶えている(遺棄)
・配偶者のDVにより保護命令を受けている
児童扶養手当は、
ひとり親が子供を育てるのを支援する大切な制度なのです。
2.児童扶養手当には所得制限がある
しかし、
ひとり親であれば誰でも児童扶養手当が貰えるとは限りません。
受給の条件として、
申請者に対する「所得制限限度額」があるのです。
所得の制限限度額は、
扶養親族等の人数により決まります。
受給のタイプには「全部支給(全額)」の他に、
所得が全部支給の限度額を超える場合に適用される「一部支給」があります。
また、
実家暮らし等で同居の家族に収入がある場合、
扶養義務者(同居家族)の所得も審査対象となります。
同居している家族の中で、
1人でも扶養義務者の所得制限限度額を超えた収入がある場合には、
児童扶養手当は受給できません。
以下は、
2024年11月(令和6年)改正後の最新の限度額目安です。
(※給与収入ではなく、諸控除後の「所得」で判断します)
| 扶養人数 | 本人の所得制限 (全部支給) |
本人の所得制限 (一部支給) |
| 0人 | 107万円未満 | 246万円未満 |
| 1人 | 145万円未満 | 284万円未満 |
| 2人 | 183万円未満 | 322万円未満 |
| 3人 | 221万円未満 | 360万円未満 |
※扶養親族等の人数は、税法上の扶養人数です。
※扶養義務者(同居家族)の所得制限は、
扶養親族が0人の場合で「236万円未満」が目安です。
2024年11月の改正により、
全部支給を受けられる所得限度額が
「87万円→107万円」(扶養0人の場合)へと大幅に引き上げられました。
これにより、
これまで一部支給だった人が全部支給になったり、
対象外だった人が対象になるケースが増えています。
所得の対象となるのは、
1月~9月の間に申請をする場合には「前々年の所得」で、
10月~12月の間に申請をする場合には「前年の所得」が対象となります。
上記で扶養人数「0人」というのは違和感があることでしょう。
これは、
申請した年の前年(または前々年)末時点で、
まだ離婚前でお子さんを税法上の扶養に入れていなかった場合などが該当するため、
「0人」という設定が存在しているのです。
3.その他にも児童扶養手当が受け取れない場合
ひとり親家庭で上記の所得制限限度額以内であっても、
児童扶養手当が受け取れない場合もあります。
・事実婚をしている
婚姻届を出していなくても、
異性と同居していたり、
頻繁な訪問があり生計を共にしているとみなされる場合(事実婚)は、
支給条件の対象外となります。
この場合、
相手の所得を含めると制限限度額を超えていると考えられるからです。
・多額の養育費を受け取っている
元配偶者から受け取っている養育費の「8割」は所得として加算されます。
養育費が多い場合、
所得制限限度額を超えて対象外(または減額)となる可能性があります。
・福祉施設や里親制度を利用している
子どもが児童養護施設等に入所していたり、
里親に預けられている場合は支給対象外です。
この場合は、
子供を養育している施設や里親に対して別の手当てが支給されます。
※公的年金(遺族年金・障害年金など)を受給している場合、
年金額が児童扶養手当額より低い場合に限り、
「差額分」を受給することが可能です。
4.児童扶養手当を受け取るには?
上記の条件をクリアしていて、
児童扶養手当を申請したいと思ったら、
どの様な手続きをすれば良いのでしょうか。
・新規に申請する場合
児童扶養手当の申請をするには、
申請者本人が各地方自治体の窓口(子育て支援課など)に行き、
以下の必要書類を持参して手続きを行います。
戸籍謄本(申請者と対象児童のもの)
マイナンバーカード(個人番号確認書類)
本人確認書類(運転免許証など)
申請者名義の預金通帳
印鑑(不要な自治体も増えています)
必要書類は自治体や個人の状況により変わってきますので、
事前に電話で確認して予約を取るのがスムーズです。
窓口では、
現在の生活状況(住まいや生計維持の方法)や、
子供の父親(または母親)に関する情報の聞き取りが行われることがあります。
審査が通れば、
申請した翌月分から児童扶養手当が支給されます。
・更新する場合(現況届)
児童扶養手当は、
毎年1回更新の手続が必要で「現況届」といわれます。
現況届は毎年8月中に提出が必要で、
提出がないと11月分以降の手当がストップします。
7月末頃になると地方自治体から手続きの案内が届きますので、
絶対に忘れない様にしましょう。
この手続きで、
その年の11月~翌年10月までの支給額が決まります。
なお、
手当は通常「奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)」に、
前月までの2ヶ月分が振り込まれます。
(例:11月改正後の金額は、翌年1月の支給から反映されます)
・変更が必要な場合
住所変更や、
世帯員の増減(実家に戻った、再婚したなど)があった時には、
すぐに変更手続きを行わなくてはいけません。
特に再婚(事実婚含む)した場合には受給資格がなくなります。
届け出が遅れて手当を受け取り続けると、
不正受給として「返還義務」が発生するため注意が必要です。
・一部支給停止適用除外事由届出書
児童扶養手当の受給開始から5年以上経過した場合など、
現況届の時期に「一部支給停止適用除外事由届出書」の提出を求められることがあります。
これは、
「働けるなら働きましょう」という自立促進の目的があるためです。
もちろん、
きちんと働いている、
就職活動をしている、
あるいは病気や介護で働けないといった正当な理由があれば、
証明書類と共に届け出ることで減額されずに受給できます。
5.児童扶養手当の金額(2025年最新)
児童扶養手当では実際に幾ら位貰えるのでしょうか。
2025年4月(令和7年度)以降の最新月額は以下の通りです。
(※物価スライドにより改定された金額です)
子供1人の場合
・全部支給:月額 46,690円
・一部支給:月額 11,010円~46,680円
子供2人目以降の加算
・全部支給:1人につき 11,030円
・一部支給:1人につき 5,520円~11,020円
ここも重要な改正ポイントですが、
以前は低く設定されていた「第3子以降の加算額」が、
2024年11月より「第2子の加算額と同額」に引き上げられました。
つまり、
2人目も3人目も、同じ金額が加算されるようになっています。
毎月これだけの補助が貰えるのですから、
ひとり親家庭の家計にとって非常に大きな支えと言えます。
6.まとめ
児童扶養手当は、
ひとり親家庭等の生活と子供の成長を支えるための重要な制度です。
改正により所得制限が緩和されたり、
多子世帯への加算が増額されたりと、
より利用しやすくなっています。
シングルマザー・シングルファザーで頑張っている方は、
最新の条件を正しく把握して、
是非この制度を有効活用しましょう。