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子ども・子育て支援金で国保はいくら増える?|月350円の負担増は普通に痛い

子ども・子育て支援金で負担が増える?
国保加入者すべてに関わるリアルなお金の話

国民年金や国民健康保険に加入しているすべての人に、
絶対に知っておいてほしい重要なお金の話があります。

今回の記事では、
小学1年生の娘さんを育てながら働くシングルマザーのAさんへ独自取材を行い、
そのリアルな体験談をもとに、制度の仕組みを一緒に見ていきましょう。

この記事はひとり親の方に限らず、
フリーランスやパートの方など、
国保加入者全員に関係する内容としてまとめました。

政府の発表やニュースなどでよく耳にする、
「年収300万円」という標準的なモデル世帯の数字。
しかし、実際に一人で子育てと仕事を両立しているAさんの立場からすると、
その前提自体に大きな距離を感じてしまうのが本音です。

【結論】子ども・子育て支援金の影響
・小学生〜中学生の家庭:ただの負担増
・高校生の家庭:大幅なプラス
・「いつ得するか」で評価が大きく分かれる制度です
  • ページ更新日:4月14日




制度の開始直前、
役所で知った「お金」の話

「あ、それとこれ。制度が始まりますので、お知りおきください」

国民年金の手続きのために役所を訪れたAさんは、
窓口の担当者から平然とパンフレットを手渡され、
思わず絶句してしまったそうです。

突然手渡された一枚のパンフレット

子ども子育て支援金パンフレットイメージ画像

「え?私が払うんですか?」
突然のことに思わず聞き返すと、
担当者は「払うというか、お給料から引かれますので」と、
さらりと答えるだけ。

「支援してもらえるんじゃなくて、こっちが徴収されるシステムなの?
一体いくら引かれて、どんな恩恵が受けられるの?」

腑に落ちない思いを抱えつつも、
窓口で担当者に詰め寄っても始まらないと平静を装い、
帰宅後に調べたというAさんの体験をもとに、
子ども・子育て支援金のリアルな実態をお伝えします。

毎月カツカツの家計にのしかかる現実

名目は支援金という言葉で包まれていますが、
私たちの毎月の出費が、
また一つ増えてしまうことに変わりはありません。

「ただでさえ重い国民健康保険の負担がさらに増える」という現実は、
毎月10万円台の収入でやりくりをしている家庭にとって、
食費や日用品を削ってでも捻出しなければならない、
家計を圧迫する問題になります。

「子ども・子育て支援金」の
正体と仕組み

そもそも、この「子ども・子育て支援金」とは、
一体どのような仕組みで私たちから徴収されているのでしょうか。
その複雑な正体を、分かりやすく整理してみました。

医療保険料に「上乗せ」される仕組み

この制度の最大の特徴は、
単独の新しい税金として請求書が届くわけではない、
という点です。

私たちが毎月必ず支払っている、
国民健康保険などの医療保険料に上乗せされる仕組みとなっています。

単独の税金ではないからこそ見えにくい

普段から給与天引きや口座引き落としで保険料を払っていると、
保険料がいくら増えるのか、
パッと見て明確に分かりにくいため、
いつの間にか手取りが減っているという事態に陥りやすいのです。

この見えにくさや制度の複雑さが、
不安を煽る要因になっています。



会社員と国保で違う?不公平さを感じる計算式

この支援金の金額は、
「どの健康保険に入っているか」で計算方法が異なります。
ここが、Aさんのような国保加入者がどうしても不公平さを感じてしまう、
ポイントです。

会社員が加入する社会保険(会社の健保など)の場合は、
お給料をもとに計算され、
さらに会社が半分負担してくれます(労使折半)

しかし、フリーランスやパートなどが加入する国民健康保険(国保)には、
当然ながら半分負担してくれる会社はありません。
すべてが自己負担です。

さらに、稼いだ金額に応じた負担だけでなく、
家族の人数分だけ必ずかかる負担(均等割)にも上乗せされます。

収入が少なくても、
「頭数に合わせてきっちり負担が増える」仕組みなのです。
これが、ギリギリの家計にとって月数百円の増加が、
重くのしかかる理由です。

【補足】共働き世帯は「ダブル天引き」に注意
「子ども・子育て支援金」は世帯ごとではなく、
健康保険を払っている個人ごとに計算されます。

そのため、夫婦ともに社会保険や国保を払っている共働き世帯の場合、
夫の給料からも妻の給料からも、
それぞれ別々に天引きされてしまいます。
(※妻が夫の扶養に入っている場合は、夫のみの負担です)

なぜ「実質増税」と言われているのか?

政府は少子化対策のための「支援金」であると説明していますが、
加入者から半ば強制的に徴収される性質上、
多くの専門家からも実質的な増税だと言われています。

冷静に試算すると、
間違いなく国民健康保険の負担が増えるという厳しい事実が浮かび上がってきます。

「国保が上がる」といっても、実際いくら増えるのか。
自分の家庭に当てはめて把握しておかないと、
日々の家計管理に、
思いがけないダメージを与えてしまうかもしれません。

(参考:こども家庭庁|子ども・子育て支援金制度の概要

年収別シミュレーション
「標準モデル」との距離

シングルマザー年収別試算イメージ画像
「政府の試算モデルなどでよく目にする年収300万円という数字は、
一人で子育てと仕事を両立させている立場からすると夢の話です」

Aさんがそう語るように、
世間の標準と実情には、
埋めようのない距離が存在しています。

試算表から見えてくる「損益」のボーダーライン

そこで、より現実に近い年収150万円と200万円のケースで、
月々の保険料がいくら増えるのか具体的に試算してみました。

世帯年収 子どもの年齢 増減額(目安) 判定
150万円 中学生 ▲250円 ただの負担増(涙)
150万円 高校生 +9,750円 家計的には助かる
200万円 中学生 ▲350円 地味に痛い。
200万円 高校生 +9,650円 かなり助かる。
300万円 中学生 ▲500円 (そもそも夢の話)

(※金額はこども家庭庁の制度案をもとにした月額の概算です)

負担を重く感じる理由

月額250円や350円という数字だけを見ると、
「それだけか」と思う方もいるかもしれません。
しかし、年間に直せば3,000円から4,000円近くの負担増となります。

余裕のない層にとっては、
この数百円の負担増がとてつもなく重く感じるのが現実です。



回収まで10年…
払い続けるひとり親のリアル

取材に応じてくれたAさんの娘さんは現在、
ようやく小学1年生になったばかりです。

高校生になれば支援金の恩恵を受けられると言われても、
それまであと10年という、非常に長い歳月があります。

子どものヨーグルト代が消える現実

「毎月の数百円という負担は、
子どもに飲ませている野菜ジュースやヨーグルト、
たまに買ってあげるアイス代に相当します。

なんで勝手に引かれなくちゃいけないの?って、
やりきれない思いになりました」

Aさんは当時の心境を、
悔しさを滲ませながら語ってくれました。

「国民に拒否権はない」という諦めとやるせなさ

「議会で決まったことなら、私たちに拒否権はないですよね。
負担するしかないんだな……。
今はそんな、諦めに近い気持ちです」

特に、仕事と育児の両立で精一杯な「小1の壁」に直面しているAさんにとっては、
これから先の10年、ひたすら目に見えない負担だけが続いていくことになります。

この逃げ道のない強制的な徴収に対する諦めとやるせなさが、
今の制度の最も残酷な部分だと言えます。

児童手当拡充で
収支が改善する時期は?

ただ単に毎月の負担が増えるだけではありません。
制度の全体像を見ると、
少しだけ希望の光もあります。

高校生世代への延長と所得制限の撤廃

この支援金制度は負担を強いるだけでなく、
児童手当の所得制限の完全撤廃や、
支給期間の高校生世代までの延長とセットで設計されています。

また、第3子以降の支給額が「月3万円」へと倍増されるなど、
多子世帯へのサポートも盛り込まれています。

結局のところトータルで家計は助かるのか?

高校生の子どもがいる家庭の場合、
新しく支払う支援金の額よりも、
延長によってもらえる手当の額の方が大きくなります。

つまり、増える負担額を支給される手当が上回ることで、
家計全体で見れば実質的なプラスに転じる
「収支の逆転」が起きるのです。

実際に、小学1年生の娘さんがいるAさんの例で計算してみましょう。

【Aさんの収支シミュレーション】
・小1〜中3(約10年間):支援金だけを払い続ける(約5万円の負担増)
・高1〜高3(3年間):延長分の児童手当をもらう(36万円の支給)
=最終的には「約31万円」のプラスになる計算

トータルで計算すると、
10年かけて払った額を最後に回収して、
プラスになることが分かります。

しかし、今この瞬間の「月数百円」をやりくりしている世帯にとっては、
恩恵を受けるまでの10年という歳月が、
あまりにも遠く感じてしまうのも事実です。

それでも、自分の家庭が「いつからプラスの側へ回るのか」という
損益分岐点を見極めておくことが、
先行きの不安を減らすことに繋がります。



自分の街はいくら増える?
正確な額の調べ方

国民健康保険の計算方法は市区町村によって異なります。
そのため、全国共通の正確な金額を、
一概に言うことはできません。

ネットのシミュレーションツールを使う

正確な金額をいち早く知りたい場合は、
「〇〇市 国保料 シミュレーション」のように、
お住まいの自治体名を入れて検索してみてください。

また、年収や家族構成を入力するだけで、
おおよその国保料を把握できる便利な外部ツールも存在します。

※今回の記事のテーマである「支援金」の増額分だけをピンポイントで調べたい方は、
こちらのツールが非常に分かりやすくおすすめです。
(参考:「子育て支援金」負担額シミュレーター

役所の窓口で質問する際のコツ

また、役所の窓口で直接聞いてしまうのも確実な方法です。

窓口にあるパンフレットを手に取り、
「この支援金を含めると私の保険料は具体的にいくら増えますか?」と質問し、
値上がりに備えることが大切です。

納得できなくても「知って備える」が防衛策

Aさんのお話を聞くなかで感じたのは、
「どうしても納得できない」という、
切実な本音でした。

制度の仕組みや正しい数字を、
自分自身できちんと把握しておくことが何よりも大切です。

何も知らずにお金を引かれてモヤモヤするよりは、
その中身を理解したうえで、
家計を守るための対策を練るほうが、ずっと前向きだからです。

負担が増えていくなかで、
固定費を見直したり、働き方を工夫したりと、
「自分の身は自分で守る」という意識を持つことが、
今、求められています。

毎日を懸命に生きる人たちにとって、
この記事が、家計を守るヒントになれば幸いです。